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キルク

キルク/でぃくでぃく

Author:キルク/でぃくでぃく
趣味:絵描き、ゲーム、東方、読書、映画鑑賞
好み:ほのぼの、なんだかんだで恋愛物
雪さん、萃香
サークル:ダイダイ
相方:アイネクライネ古ノ花亭
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「三次元なんかに興味あるか、ばーか」宣言
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ひぐらし 綿流し編

ちょっと中略多いかもだけど許してください。
昼からずっと書いてて、昼飯食ってないからお腹空いてて……(´・ω・`)
まぁ、皆さんの豊かな想像力で何とかなるでしょ(他人任せ

ではでは、綿流し編どうぞ〜〜
( ̄ー ̄)y-~~~~~




「わー圭一君だ、おはようなんだよ! だよ!」
レナが嬉々としながら大手を振っている。早くもテンションが高いようだな。
「おはようってもう夕方だぜー? こんにちは、だろ」
「でも、でも、…今日、圭一君にする最初の挨拶だから、やっぱりおはようがいいな。いいな」
「・・・分かった分かった。 じゃーおはようでいい。おはようレナ」
レナの頭を鷲掴みにしてわしわしと撫でてやる。
うにゃうにゃと喜ぶそれはまるで猫みたいだ。
「やっほ、圭ちゃん! 昨日は申し訳なかったね。黙って帰っちゃってさ」
「あー・・・それを言うなら俺の方が悪かった。魅音をずーっと待たせっぱなしでごめんな」
「昨日のお祭りの準備のことかな? どうだった圭一くん。 しっかりとお仕事してた?」
全身が微妙に筋肉痛で動きが鈍いのは…早くもバレバレみたいだな…。
「頑張ってたよ。へばってたけどねぃ!」
苦笑いしながら3人で大笑いする。
「沙都子と梨花ちゃんは? 祭り会場で合流か?」
「うん。梨花ちゃんはほら、大切なお勤めがあるから昨日からずーっと。沙徒子ちゃんもそのお供だそうだから。もう二人とも神社にいるよ」
そうだそうだ!
今日は梨花ちゃんの晴れ舞台だったな。この日のためにいろいろと特訓してたらしいし。…これは仲間として応援に行ってやらないとな!!
「よっしゃ! さっそく行こうぜ!!」
「おお〜〜〜!!」



<<中略>>



ドーーーーーーン!
威勢のいい大太鼓の音が響き渡ってきた。
「梨花、そろそろ時間みたいでございましてよ?」
「あ、…いよいよなんだね」
そうか。いよいよ梨花ちゃんの出番の奉納演舞の時間がやってきたのか…。
「……ちょっとドキドキしてるのです」
「信じなって、自分を。梨花ちゃんが流してきた汗は絶対に無駄になんかならないから」
魅音が力強く梨花ちゃんの背中を叩く!
「そうですわ。梨花はきっとやり遂げますわ!!」
「……頑張るのですよ」
「うん!その意気だよ〜!」
俺はぐっと握りこぶしを作って天に突き上げる。
「応援してるぞ梨花ちゃん!! ファイト、おー!! だぜ?!」
「ファイト、おー!!!」
梨花ちゃんは最高の笑顔をした後、くるっと踵を返し、駆け出していった。
「じゃあ…私たちも行こうよ!」
「そうだな。応援してやろうぜ!!」
「ダメですのよ! 演舞中はお静かにしていないといけませんでございますわよ!」
わかってるって! 親友を最後まで心配する沙都子の頭をわしわしと撫でてやる。
「なら急いで行かないと! いい場所がなくなっちゃうよ! 行こ!!」
魅音が駆け出すと、皆も遅れまいと駆け出した。


大勢の人たちが、ありがたい演舞を見ようとすでにひしめき合っていた。
「こりゃあ……すごい人でだなぁ!!」
仲間に振り返ったつもりだったが、そこには見知った顔はいなかった。
み、みんなどこに行っちゃったんだ?!
…この人ごみでははぐれるのも無理はないのか。
ようやく見つけた魅音の後頭部は、人垣のずーっと向こうだった。とてもそこまでは行けそうにない。
・・・まぁ別に、はぐれたってどうと言うことはない。梨花ちゃんの演舞が終わったら合流すればいいだけなんだからな。
みんなとの合流を諦め、少しでもよく見えそうな場所を求めて、うろちょろしてみた。
……どこを移動しようと、人垣の頭の隙間から伺うしかないことに気付くのにそんなに時間はかからなかったが。


ドーーーーーーン!!!
再び、一際大きく大太鼓が鳴り響いた。
それが演舞の始まりを知らせるものだった。
よくは見えないが、どうやら梨花ちゃんが村長たちの扮する教官を従えて登場したようだ。
おぉ・・・という感嘆のため息と、ありがたがり数珠を揉む年寄りたち。
人垣の頭が邪魔で、よく見えないのが本当に悔しい。
先に遊びを切り上げて、陣取りをしていた方がよかったに違いない…。
梨花ちゃんが祝詞を唱えた後、祭事用の大きな鍬を抱え、祭壇に積み上げてある布団の山に近付いていく。
そうだよな。布団をお祓いして供養するっていうのが儀式の趣旨だったな…。
そして、厳かな奉納演舞が始まった。
餅つきの杵を使って練習するだけあって、…梨花ちゃんの持つ、祭事用のややこしい形をした鍬は、本当に重そうだった。
よろよろよたよたと、振り上げるだけでも大変に違いないものを、汗だくになりながら振ったり、掲げたり、降ろしたりする。
それは嫌々こなせばいいものではなく、巫女として祭事に臨む厳かさが伴わなければならない。
……梨花ちゃんの双肩に圧し掛かるプレッシャーは相当なもののはず…。
……くそ!! なんで俺はこんなよく見えないところで応援してるんだよ!
せめて、梨花ちゃんが一番よく見えるところで応援してやるのが仲間ってもんだろうに!


「圭ちゃん、こっちこっち。」
襟首を軽く引っ張られる。…詩音だった。人垣の輪の外で俺を手招きしている。
いたずらっぽく笑うその顔には、私しか知らないとっておきの場所がありますよ、と見て取れた。
「詩音、…なんだなんだ。」
「しーー。黙って付いてきて下さいね。」
詩音は付いて来るように言うと、人垣をぐるっと大回りに走り出した。
こういう時、土地勘のあるやつがいると助かるよなぁ! なんて感心していると、すぐにも詩音を見失いそうになる。
もうはぐれるのはごめんだ。
俺も遅れないように駆けていく。


どんな穴場なんだろうと期待すると、歌音は人の輪を外れ、境内の裏に回って行った。
「おいおい、…どこ行くんだよ…!これじゃあ、どんどん離れちゃってるぞ?!」
「しーーーー! 黙って付いて来ればわかりますから。」
詩音が、よく魅音がそうするようにウインクしながらそう言った。
ひと気もなく、明かりも充分でない暗がり。すっかり境内の人だかりからは離れてしまった。
…こんなところから、どうやったら梨花ちゃんの演舞が見れるって言うんだ?
「そっか。…どこか高い所があるんだな? 屋根の上とか、そういうところから見下ろそうって言うんだろ。」
「はい? 何で屋根に登んなくちゃいけないんです?」
「だって、そうじゃなかったら、どうやって梨花ちゃんの演舞を見るんだよ。」
「梨花ちゃまの演舞なんか見たかったんですか? 圭ちゃん、ひょっとしてストライクゾーン、もっのすごく低くありません?」
「…なんだか話が微妙に噛み合わないぞ。お前は俺を、梨花ちゃんの演舞がよく見える場所に案内してくれるんじゃないのか?」
「はい? ・・・誰もそんな約束してませんよ?」
んがーーーッ!! な、なんだそりゃあぁあー!!
何で俺は!! いっつも詩音とは噛み合わないんだ!!
俺か?! 俺が勝手に勘違ってるだけなのか?!?!
「じゃ、じゃあ、お前は俺を何でこんな所に呼び出したんだよー!!」
詩音が茶化さない目で、人差し指を俺の唇に当てて、静かにするように無言で告げる。
…お祭りの死角を突いた、ひと気のない暗がり。ここには年頃の男女が二人きり。
・・・・・・えぇえぇ?!?! まままま、まさか?!?! 詩音のやつ、また何か・・・嫌ぁなことを企んでないか?!?!
(しーーーーー。あれを見て下さい・・・! ほら。)
詩音が小声で告げ、暗がりの茂みの向こうを指差す…。
そこには…二人の、男女の人影。
(な、…なんだ、ありゃ。……………まま、まさか…。)
(逢引の生現場に決まってるじゃないですか〜。ほらほら、よく見て下さい。あれ、誰だかわかります?)

詩音に言われ、暗がりに目を凝らす。
………あ、富竹さんと、鷹野さんだ…!
とみたけさんと高野さんは、明らかに息を殺し、気配を悟られまいとしてきょろきょろと辺りを伺いながら、倉庫のような木造の建物の入り口にしゃがみこんでいた。
(…まさか、詩音。……これを見せたくて俺を呼んだのか?)
(圭ちゃん。梨花ちゃまの演舞は毎年見れるけど、こーゆうのは、二度とお目にかかれませんよ?)

……園崎姉妹ってのは、姉も妹も個性的とは思ってたが、こういうところだけはいやにそっくりだぞ…。
(俺は帰るぞ! 二度とこんなのに呼ぶなよなぁ!!)
(あ、今、動いたらバレちゃいますって…!!)

俺たちのそんなにぎやかなやりとりに、鷹野さんがビクリと振り返る!
「……あらあら。どなたかしら?」
しばらくは息を殺し、やり過ごそうと試みたが、高野さんは完全にこちらの気配を感じ取っているようだった。
詩音と顔を見合わせ、諦めて茂みの影から出る。
「どうもこんばんはー。お月様の綺麗ないい夜ですね。」
「あらあら。詩音ちゃんに前原くんじゃない。こんばんは。月の綺麗な夜ね。」
「おやおや……、圭一君も隅に置けないねぇ! こんな所で逢引かい? だとしたら、僕たち、とんでもないお邪魔をしちゃったかな。あっはっはっは!!」
逢引してたのはそっちだろうがー!!
勝手に笑いあう富竹さんと鷹野さんがなんだか腹立だしい。
「ってことは富竹さんたちは、逢引してたってわけじゃないみたいですね。」
「そ、それはもちろん違うよ。そういうロマンスも嫌いじゃないけどねぇ。」
「くすくす…。残念だけど、貴方たちが覗き見したくなるような逢引現場じゃないのよ。期待に添えなくて申し訳ないわね。」
「ふーん。逢引現場じゃなかったら、何してるんですか? 富竹さん、今、扉の南京錠をいじってませんでした?」
え? そういわれて、改めて二人を見直すと…確かにそう見えた。
倉庫の扉の前に屈み込み、重そうな南京錠をいじっているように見えた。
「……バレちゃあしょうがないなぁ。僕たちが倉庫破りをしてたなんて、…内緒だよ?」
「な、内緒って…、それ、ドロボウって事ですか?!
富竹さんがあまりにあっけらかんと笑うので、思わず呆れて聞き返してしまう。
「やぁね。ドロボウってのは物を盗む人たちのことでしょう? 別に私たちは物を持ち出そうとしてるわけじゃないのよ。」
「へー…。じゃあ何のためにカギ開けなんかしてるんですか? ここ、開かずの祭具殿ですよね?古手家とほんの一握りの人間しか入る事が許されないって言う。」
開かずの祭具殿…?
言われて、2〜3歩下がってその全容を改めて見直す。
こんなひと気のないところに、まるでひっそりと、隔離するかのように建てられた倉庫のような建物。
…めったに開かれる事がないことを示す汚れた具合。
そして…異様な迫力で威圧する、堅牢な造り…。
確かに、言われてみればこの建物は異質だった。
「ここはね。祭具殿といってね。祭具をしまっている倉庫なの。…いえ、祭具を祀っている神殿と言ってもいいかもしれないわね。
梨花ちゃんが奉納演舞で使っている祭事用の鍬も、今日までこの中にしまわれていたものよ。
もちろん、古手家の人間以外は「穢れ(ケガレ)」を持ち込むから立ち入り禁止の不可侵領域。……聖域なの。」
そんな場所、ますます踏み込んじゃいけないんじゃないのか?!

だが、鷹野さんの顔には、子供っぽい、よく言えば無邪気な、悪く言えば残酷な笑みが浮かんでいた。
「私、雛見沢の昔物語りや伝承を趣味で研究してるって言ったわよね。私の私的興味の様々な答えがこの中に詰まってるの。
この中に入れるチャンスを今日までずっと待ってたんだから。」
チャンス、か。…確かにお祭りの今日は、全ての人の目が境内の演舞に注がれている。確かに究極の死角だ。

「へー。富竹さんにカギ開けの技術があるなんて知りませんでした。」
「・・・よしてくれよ。僕だって嫌々やってるんだよ?」
「つき合せてしまってごめんなさいね。でも、ジロウさんのお陰よ。感謝してるわ。」
「やれやれ…。でも鷹野さん、こういうのはこれっきりにしてくれよ? こういうところに黙って入り込むのはやっぱり気が引けるよ。」
「くすくす…。やっぱりジロウさんはいい人ね。」

ゴトリ。
…富竹さんが南京錠を外し、それを脇に置いた。
「開いたよ。」
「ありがとう。…いよいよね。」
鷹野さんが、ごくりと唾を飲み込み、らしくもなく興奮した様子で、重い扉をぐっと押し開ける…。
隙間から、カビと埃のツンとした臭いが溢れ出してきた…。
祟りなんか実在しないと言い切った俺でも…、この状況では祟りを信じてしまう。
…土足で、こんな神聖そうな場所に踏み入ったら…なんだかバチが当たりそうだ。
「どう? 貴方たちも共犯なんだし。せっかくだから一緒に見学しない? 雛見沢の秘史を埋める、貴重な文化遺産の見物会よ。…今日だけの限定会館。くすくす…。」
「べ、別に俺たち…共犯ってわけじゃ……、」
「…面白いと思いません? ねぇ、覗いて見ましょうよ。」
詩音が俺の腕に組み付き、想像通りのことを言い出した。
「でも…これは絶対、いけないことだよ…! 神聖な倉庫なんだろ? 祭具殿って言ったっけ?! ますます勝手に入っちゃまずいよ…!」
「私は一応、園崎の人間ですからこの中にあるものは、おおよそ想像がついてます。でも、それは圭ちゃんにも見てもらいたいものです。」
「俺に見てもらいたいもの…?」
俺を倉庫に引き込むための方便だと思ったが、詩音の瞳には茶化す色はなかった。
……もっとも、真顔で嘘がつけるタイプなんだろうが。
でも確かに、…俺も平均的な男の子だ。
むしろ好奇心は人一倍強いくらいだ。
門外不出のお宝が眠る開かずの倉庫が覗けるチャンスなんてそうそうない。
どちらかと言えば…見たいくらい!
でも、かかってるカギを外してまでってのは……ちょっとまずくないかなぁ…!
「面白くないって思ったら、圭ちゃんはすぐに出ればいいです。きっと興味を引かれると思いますけどね。」

富竹さんは、俺と詩音のそんなやり取りを聞きながら、階段部分に腰を下ろし一服しようとしていた。
「僕がここで見張っててあげるから。一緒に見てきてごらん。僕はあまり趣味じゃないけど…、圭一君みたいな若い男の子には結構面白いかもしれないよ。……ふっふっふ!」
そう悪戯っぽく笑った。笑いには悪意はなかった。
「富竹さんは、この中に何があるのか知ってるんですか?」
「まぁね。鷹野さんにたっぷりと聞かされてるからね。」
「相方の特殊な趣味に付き合わされる殿方も大変ですね〜。」
富竹さんは答えず、苦笑いを返事とした。
鷹野さんはどことなく、自分の好きなものには、他をかなぐり捨てても一直線というコワイ雰囲気があるが…。
富竹さんは逆に極めて常識人だ。
…その富竹さんが、こんなにも気さくに、見てごらんなんて言うと、急に罪の意識が軽くなる。
「じゃあ………ちょっとだけな。…面白くなかったらすぐ出るぞ。」
そうこなくっちゃ! 詩音が魅音そっくりにウィンクして見せる。
「決まったみたいね。じゃあ行きましょうか。…ジロウさん、留守番をお願いね。」
富竹さんは、いってらっしゃいとばかりに、手をひらひらと振った。
中は真っ暗だったが、鷹野さんが用意していた電池式のランタンを灯すと、かなり狭い前室であることがわかった。
「真っ暗だねぇ。みんな転ばないように気をつけるんだよ。」
「ご心配ありがとう。…じゃあ門番をよろしくね。ここ、締めるわよ。」
楽しい事から富竹さんだけを締め出すように、鷹野さんが意地悪に笑いながら、扉を閉めていく。
「やれやれ…。…じゃあみんな、ゆっくり楽しんでおいで。」
低く重い、よく響く音を立て、…外界と完全に遮断されると…シンシンとした闇が蝕んできた。



<<中略>>




夕飯はあまり箸が進まず、早々にご馳走様をして、自室に戻っていた。
「圭一〜。電話よー。園崎さんからー。」
園崎? 魅音か?
…違う。詩音だ。
…思い出した。
今日は、詩音が何か話があるということで会ったはずだったんだ。
大石さんが割り込んできたので、何も話せなかった。…だから夜に電話するとか言ってたっけ…。

「もしもし。…詩音か?」
「どうも。今日は災難でしたね。」
あんまりにもあっさりと言うので、ちょっと腹が立った。…俺を置いてさっさと逃げやがって。
「そんなこと言わないで下さい。私、圭ちゃんに一緒に逃げようってサインを送ったじゃないですか! なのに、圭ちゃん、ボサーッと残っちゃって。」
「ボ、ボサーってことはないだろ! ・・・詩音があっという間に置いてきぼりにしたんで、あの後、俺は大石のおっさんにたっぷりつき合わされたんだぜ?!」
「そんなの、私に愚痴られても困ります。」
…よ、よくもこうバッサリと言えるものだなぁ!
魅音とあんなにもそっくりなのに、だからといって中身はこうまでも違うのか。
…心のどこかで、別の人間と知りながらも、魅音と同じリアクションを期待している自分に気付き、少し呆れる。

「…あー…悪かったよ。次からは詩音を置いてくぐらいのつもりで、真っ先に逃げ出すようにする。」
「出来ればレディーファーストでお願いします。あははははは!」
詩音が小気味よく笑った。
…その声を聞いてようやく、詩音はそんなに真面目な意味で怒ってたわけではないことに気付く。
…確かに詩音の言うとおりだ。
…俺の不機嫌の元凶は、あの場でとっとと逃げ出さなかった自分のせいなのだ。
…人のせいにするのはやめよう。人のせいにするのは…。
「それより…俺に何か話があるんだろ?」
「あ、はい。…………もしも、もう知ってるなら、改めて言うような話じゃないんです。……その、……知ってますか?」
詩音が、辺りを伺うように急に小声になった。…知ってますかと言われても、何のことやらさっぱり分からない。
「…悪いけど、何のことかさっぱり分からないぞ。ヒントくらい出せ。」
「…………ってことは、…知らないみたいですね。」
俺のまぬけな質問がそのまま、知らないという返答になったらしい。
だが詩音の声に落胆やふざけた様子は一切なかった。
「実は、…昨日の綿流しのお祭りの晩なんですけど。」
全身がゾクリとした悪寒に襲われる…。
…し、…詩音までもが…同じことを…?!
「もしもし? 圭ちゃん、聞いてます…?」
「…あ、…あぁ。聞いてる。…昨日の晩、どうしたんだよ。」
「私たち4人、…入ったじゃないですか。」
…相槌は打たなかった。
それは俺が認めたって認めなくたって、…なかったことにはできない、絶対の事実だからだ…。
「それでその後、みんなで歩いて……、石段の辺りで私達みんな別れましたよね? 鷹野さんたちは沢に行って、圭ちゃんはその場に残って。私は親類の人たちのところに行っちゃって。」
「…あぁ。それがどうした。」
「………お互い、質問の返し合いになっちゃうと埒が明かないんで…私から質問します。いいですか?」
「昨夜、富竹さんと鷹野さんに会いませんでしたか、…だろ?」
「……え? …あ、はい。…あの後、あの二人には会いましたか?」
…驚かないというと嘘になった。
…今日、代わる代わる三度も聞かれた同じ問い。
なぜ? どうして? 何だってんだよ一体?!
「ど、どうしてだよ?! だからどうしてそれを俺に聞くんだよッ?!」

「ほらほら、圭ちゃん! 質問は私からのはずです。答えてください。」
「し、詩音は会ったのか?! 詩音が先に答えたら俺も答える…!」
今日一日の出来事で…すっかり怖がりになってしまった、矮小な自分の、みすぼらしい返答だった。
詩音はしばらく何も答えなかった。

…自分のした返事が、大きな失言ではなかったのかと思い始めた頃、ようやく答えてくれた。
「もちろん、会ってません。一緒にいた親類が証明できます。」
「……俺だって会ってない。証明って言うなら、魅音とかレナとか、みんながしてくれる。」
互いの答えが一致したことを確認し合うと、どちらからともなく、安堵に似た溜息を漏らした…。
「正直に答えてくれて、ありがとうございます。…じゃあ、…言いますね。」


…昨夜、鷹野さんと富竹さんが死んだそうです。


「……ごめん、詩音。…今、何て言った?」
「昨夜、鷹野さんと富竹さんが死んだんだそうです。鷹野さんは焼死体で。富竹さんは…自殺みたいな感じで。…今朝知ったんです。…お父さんが親類の人からの電話で話してるのを聞いて…。」

昨夜の深夜。
お祭りの警備を終えて帰る途中の警察の車が、興宮への道の途中で、倒れている富竹さんを見つけた。
死因は…喉を掻き毟っての、自殺。

「な、なんだよ、喉を掻き毟ってるの自殺って…。あの、明るそうな富竹さんが自殺?! 何かの間違いだろ?!」
「警察がちゃんと検死したんです。 自分の爪で! ガリガリと喉と掻き毟って、血管を破いて、血をドバドバ出して! 自分の血で溺れ死んだんだって!!」
「そんな馬鹿な自殺、聞いたことないぞ! 自分の喉を掻き破るなんて…おかし過ぎる!!」


大声を出し過ぎたことに気付き、声のテンションを下げる…。
親に聞かれたくなかったので、子機に持ち替え、自分の部屋へ駆け上った。
「……大声出してごめん。…で? 鷹野さんも…自殺なのか?」
「鷹野さんは…自殺かどうか、ちょっと……。」

鷹野さんの死体は、岐阜県の山中で見つかった。
深夜の山中で火があがっているのを、付近のサービルエリアの職員が見つけ通報。
駆けつけた消防署員が発見した。
検死の結果、半裸女性の焼死体と判明。
身元確認は困難かに思われたが、その直後に××県警興宮署から歯型照合の依頼があり、照合の結果、鷹野三四と確認された。
死因はまだ特定されてないが、下着姿で、周囲に衣装がないことから、他殺の可能性が濃厚だという。
「…灯油缶が転がってたそうなんで、焼身自殺の線もあるそうです。」
「じ、自殺なわけ、あるものか!! 同じ死ぬならもっと楽な方法がいくらでもあるだろ?! こんなの…絶対に自殺なものか!!」
「私だってそう思ってます! 富竹さんのだって、自殺だなんて考えられない!」

互いにまくし立てあい、肩で息をするような沈黙が訪れる。
…興奮が冷めてくるに従い…、たった今、詩音から聞かされた話の意味がわかってきた…。
「・・・・・・オヤシロさまの祟り、ってことになるかと思います。私達、祟られるのに充分な資格がありますから。」
「し、資格って…、じょ、冗談じゃないぞッ!! 別に俺は…!!」
詩音が一緒に見ようと言うから、付き合いで入っただけじゃないか!!
 ……そう言おうとして、口をつぐんだ。
……人のせいにしたってしょうがないのだ。
…いくらみんなに勧められたからと言ったって、…強く拒否することは出来たのだ。
中途半端な好奇心に負けて、一緒に中に入る事に同意したのは……他の誰でもない、自分自身なのだから…。

「…………詩音。…お前は昨夜、祭具殿の中に忍び込んだら、こうなるかもしれないと予想はついてたのか…?」
「…まさか。そりゃあ、多少はやばいとは思いましたけど…こんな事になるなんて夢にも思いませんでした。」
詩音の言っている事は、多分、本音だ。
…見つかったらやばいとは思いつつも、それをスリルにした、ちょっとした冒険のつもりだったはず。…それは俺だって同じだ。
「それよりも圭ちゃん。…ちょっとよく考えて下さい。…今年のオヤシロさまの祟りはおかしくないですか?」
……富竹さんも鷹野さんも、あんな死に方をした時点で充分におかしいさ。
それを踏まえたうえで、これ以上、何がおかしいって言うんだ…?
「死体が2つ見つかったことです。…言いましたよね? 例年は、1人が死んで、1人が消えるんです。…2人の死亡が確認されたのは今年が初めてです。」
「……確かにそうかもしれないけど…そんなのは大した問題じゃないだろ。」
「いいえ、圭ちゃん。…もっと真剣に考えてください。いいですか? 2人の死がオヤシロさまの祟りということになってるなら、オヤシロさまの怒りを鎮めるための生贄もまた、2人分必要なはずなんです。」
「…そういう理屈になってるのか…? じゃあ何だよ。富竹さんと鷹野さんが死んだ影で、今年は2人が行方不明になってるってのか…?」
……理由はわからない。
…なのに、…自分で言っていて、背筋が凍った。
「…まだ誰も行方不明になってないと思います。…多分、2人が失踪するのは、…これからじゃないかと思うんです…。」
詩音もまた、…俺と同じように、背筋を登る悪寒を感じているに違いない。
「これから…2人が、……失踪する……?」
詩音は答えない。
俺も、それ以上は言えない。
……寒さが、衣服の隙間から忍び込み、俺の心臓を握ろうと…その冷たい手で胸をまさぐってくるのがわかる…。
「………………………………。」
それでも互いに何も言えない。

錠前を開けた富竹さんが死に、祭具殿を暴いた鷹野さんも死んだ。
……さらに2人が犠牲になるのなら……。
それは…一緒に祭具殿に踏み入った…、俺たちに…他ならないじゃないか…。

テーマ : ひぐらしのなく頃に 祭 - ジャンル : ゲーム

タグ : ひぐらしのなく頃に 綿流し編

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